相続
相続金はいつもらえる?相続の状況による受け取り時期や早く受け取れるポイントを解説!
家族が亡くなった後には、相続の手続きや支払いができるだけ早く必要になることがあります。
そのため、早くお金を受け取りたいと思いますが、相続金はすぐには支払われません。
なぜなら、相続では遺言書の確認や相続人の特定、遺産分割協議など、複数の法律上の手続きを経る必要があるからです。
ではいつ相続金が受け取れるのか、気になる方も多いでしょう。
そこで本記事では、相続金を受け取るまでの具体的な流れと目安の期間を解説します。
さらに、手続きをスムーズに進めるためのポイントもわかりやすく解説します。
また、税理士法人Farrow Partnersでは、相続に関する無料相談を承っております。
相続手続きは複雑で何から相談すればよいかわからない、という方もぜひお気軽にお問合せください。
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相続金はいつもらえる?遺産相続の基本的な流れ
相続金はいつもらえるのか遺産相続の基本的な流れを解説します
家族が亡くなったあと、相続金はいつ受け取れるようになるのか?と、疑問を抱く方は多いでしょう。
しかし、いくつかの法律上の手続きを経る必要があるため、相続となってすぐに受け取れるものではありません。
遺産相続の基本的な流れは以下です。
- 遺言書の確認と検認手続き
- 法定相続人を特定する
- 相続財産の内容を調査する
- 被相続人の確定申告を行う
- 遺産分割協議で分け方を決める
- 名義変更・払い戻しなどの手続きを実施
- 相続税の申告と納付を行う
一連の手続きが終わるまでには、一般的には3ヶ月から〜半年ほどですが、手続きの内容によって1年近くかかる場合もあります。
相続金の受け取り時期

相続金の受け取りまでに、さまざまな手続きがあることがわかりましたが、完了までにはどのくらいの時間を要するでしょうか。
以下は、相続の状況と受け取り時期の目安を示した表です。
| 遺言書の有無・相続の状況 | 相続金受け取り時期の目安 |
| 遺言書があり、検認が不要なケース(公正証書遺言) | 約2週間 |
| 遺言書があり、検認が必要なケース(自筆証書遺言) | 約3週間 |
| 遺言がないケースで相続人が1人の場合 | 約2ヶ月 |
| 遺言がないケースで相続人が複数の場合 | 約3ヶ月 |
検認とは、遺言書の改ざんを防ぐため、内容や形状を家庭裁判所で確認する手続きです。
遺産相続した財産がいつ受け取れるようになるかは、遺言書の有無や相続人の人数で大きく異なります。
では、順に詳しく見ていきましょう。
遺言書があり、検認が不要なケース(公正証書遺言)
相続手続きが取れなくなった場合、問題となりやすいのが不動産です。
不動産の所有権は、相続が開始すると同時に、法定相続人全員の共有状態になります。
そのため、相続人の一人でも連絡が取れない状態だと、全員の同意がとれなくなり、名義変更や売却、賃貸契約などの手続きができません。
この状態を放置すると、固定資産税だけが課され続けたり、空き家のまま老朽化が進んで近隣トラブルを引き起こす恐れがあります。
さらに、不動産を担保にした融資や活用が一切できないため、結果、資産価値を有効に使えなくなってしまうでしょう。
遺言書に記載のない財産があった場合
公正証書遺言があっても、記載されていない財産が後から見つかるかもしれません。
その場合、遺言に書かれていない財産については、法定相続人全員で改めて「遺産分割協議」を行う必要があります。
この協議を経なければ、その財産の名義変更や払い戻しはできません。
特に預貯金や株式、不動産などが対象になる場合は、全員の合意が求められ、相続金の受け取りに時間がかかる場合があります。
遺言執行者が指定されている場合
遺言書に「遺言執行者」が記載されている場合、その人物が手続き全般を代表して進めます。
遺言執行者は、相続財産の名義変更や分配、金融機関とのやり取りなどを一手に担う立場です。
相続人が多くても、遺言執行者が中心となって進めるため、手続きの負担が軽減され、スムーズに相続金を受け取れるでしょう。
ただし、執行者の判断で進めるため、相続人同士が手続きを把握しづらい点には注意が必要です。
遺言書があり、検認が必要なケース(自筆証書遺言)
自筆証書遺言とは、遺言者が全文・日付・署名を自分の手で書き、押印して作成する遺言書を指します。
自筆証書遺言が見つかった場合、開封する前に家庭裁判所で検認が必要です。
検認の申立てから完了までには1〜2か月ほどかかるのが一般的で、その間は遺言内容に基づく相続手続きを進めることはできません。
結果、遺産の受け取りまでには3ヶ月程度かかり、公正証書遺言よりも時間がかかる傾向があります。
家庭裁判所での検認手続き
検認が必要な場合は、遺言書の保管者または発見者が、家庭裁判所に対して検認申立書を提出します。
申立ての際には、被相続人の戸籍謄本や相続人全員の戸籍書類などが必要でしょう。
申し立てを受けた裁判所は、相続人全員に通知を送り、検認期日を指定します。
期日に裁判所で遺言書を開封し、内容を確認すると手続きは完了です。
検認終了後に初めて遺言の内容に沿って財産の分配が進められるため、早めに申立てをしましょう。
遺言がないケースで相続人が1人の場合
遺言書が存在せず、かつ相続人が1人だけの場合の手続きは、比較的シンプルでスムーズでしょう。
複数の相続人による話し合い(遺産分割協議)が不要なため、必要書類を揃えれば、相続金の払い戻しや不動産の名義変更を単独で行えます。
主な手続きは、故人の戸籍の収集、相続人の証明、金融機関や法務局への申請などです。
書類の不備がなければ、1~2ヶ月ほどで相続金を受け取れるでしょう。
相続人が1人でも手続きが遅れるケース
相続人が1人でも、条件によって相続金の受け取りまでに時間がかかる可能性があります。
例えば、故人の遺言書が見つかっていないか、確認が必要な場合や、相続財産の内容が不明確な時です。
また、不動産や有価証券など評価や手続きに専門的知識が必要な財産が含まれていると、相続手続きが長期化する場合もあるでしょう。
金融機関や役所での書類確認や税務署への届出なども含めると、2〜3ヶ月以上かかるケースもあります。
そのため、早めに必要書類を整理し、専門家へ相談することがスムーズな相続金受け取りへの近道です。
遺言がないケースで相続人が複数いる場合
遺言書が存在しない場合で相続人が複数いると、相続金を受け取るまでの手続きは複雑になります。
全員の意見を一致させる必要があるため、話し合いに時間がかかることも多いです。
まず、誰が相続人に該当するのか、どのような財産があるのかを明確にしなければなりません。
そのうえで、全員が同意したうえで遺産をどう分けるかを決め、書面にまとめていく流れとなります。
これらのプロセスを経て、初めて相続金を受け取ることが可能になります。
このケースは手続きが多くなるため、順調にすすんでも3ヶ月程度かかる可能性が高いでしょう。
相続人と相続財産の調査(数週間~数ヶ月)
はじめに行うのは、被相続人の戸籍謄本を出生から死亡まで遡って取得し、法定相続人を全員特定することです。
同時に、預貯金・不動産・株式などの財産を一覧化し、負債の有無も確認します。
この調査は資料の収集に時間がかかるため、目安は1ヶ月ですが、数週間から数ヶ月を要する場合もあるでしょう。
相続人全員での遺産分割協議(即日~数年)
次に行うのは、調査が完了したら、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」です。
ここでは、現金の分配だけでなく、不動産や株式などを誰が引き継ぐかを具体的に決めます。
全員の合意が必要なため、意見の食い違いがあると協議が長期化するかもしれません。
円満に進めば1日で終わることもありますが、揉めた場合には数年かかることもあり、家庭裁判所での調停に発展するケースも見られます。
遺産分割協議書の作成(数日~数週間)
話し合いで合意が得られたら、その内容を正式な文書「遺産分割協議書」にまとめます。
この書類は、相続金の払い戻しや不動産の名義変更などに欠かせません。
相続人全員が署名・押印を行い、原本を保管しておく必要があります。
内容確認や書式の調整に時間を要する場合もありますが、完成までの期間は通常数日から数週間です。
相続金の受け取りが遅れる原因と解決方法

相続が発生しても、実際に相続金を受け取れるまでには一定の時間がかかります。
手続きそのものが複雑なのに加え、相続人同士の意見の違いや、必要な書類の準備不足などによって、想定以上に時間がかかるケースも少なくありません。
特に、相続人間の関係性や連絡の可否、不動産や預貯金などの財産調査の進行状況によって、受け取り時期が大きく変わる場合があります。
本章では、相続金の受け取りが遅れる主な要因と、それぞれに対する効果的な対処法を解説します。
話し合いがまとまらない場合
相続金の受け取りが遅れる大きな原因のひとつが、遺産分割協議の停滞です。
相続人が複数いる場合、誰がどの財産をどれだけ受け取るかについて意見が一致しないと、手続きが進みません。
特に、不動産や高額な預貯金、事業資産などが含まれる場合は、分配方法を巡って対立が起こりやすくなります。
このような場合は、まず第三者の専門家(弁護士・司法書士・行政書士など)を交えて話し合いを整理するのが効果的です。
それでも合意に至らない場合には、家庭裁判所へ「遺産分割調停」を申し立て、調停委員を通して公平な形で意見調整を行う方法があります。
早期に専門家へ相談すると、無用なトラブルを防ぎ、スムーズに解決できるでしょう。
相続人と連絡が取れない・遠方に住んでいる場合
相続人の一部と連絡が取れない、または遠方に住んでいて署名や書類のやり取りが進まない場合も、相続金の受け取りが遅れる原因となります。
遺産分割協議は相続人全員の同意が必要なため、1人でも欠けると手続きが成立しません。
まずは戸籍附票などを利用して住所を確認し、手紙や電話で丁寧に連絡を取るのが基本です。
反応がない場合には、弁護士を通じた代理交渉や、家庭裁判所への「不在者財産管理人」の申立てなどを検討します。
相続人が生死不明であれば、一定の条件を満たすと、失踪宣告も可能です。
いずれにしても、放置せず早期に手段を講じ、相続全体の停滞を防ぎましょう。
財産の調査が完了していない場合
被相続人の財産がどこに、どれだけあるかを正確に把握できなければ、遺産分割協議そのものを始められません。
特に、複数の銀行口座や不動産、株式、保険などを所有している場合、情報収集には時間がかかります。
このようなときは、まず被相続人の郵便物や通帳、証券会社からの通知書などを確認し、財産の手がかりを集めましょう。
金融機関や法務局への照会も有効です。
どうしても把握が難しい場合には、専門家に依頼して財産調査を代行してもらう方法もあります。
正確な資産情報を早めに整理しておくことで、無駄な手戻りを防ぎ、相続金の受け取りを円滑に進められます。
相続金を早く受け取るためのポイント

相続手続きは、思っている以上に多くの工程と時間が必要になります。
そのため、事前の準備や段取りをおろそかにすると、相続金を受け取れるまでの期間が余計に長くなってしまうでしょう。
トラブルや遅延を防ぐには、相続人同士の連携、必要書類の早期取得、金融機関や保険会社への迅速な連絡など、ポイントを押さえた行動が肝心です。
そこで本章では、相続金をできるだけ早く受け取るために、意識すべき具体的なポイントを紹介します。
家族間の話し合いを円滑に進める
相続金の受け取りをスムーズに進めるには、まず相続人全員の意思を共有し、話し合いが円滑に進んでいなければなりません。
相続手続きでは、全員の同意がなければ遺産分割協議が成立せず、結果として支払いが大幅に遅れる場合があります。
話し合いを行う際は、感情的な発言を避け、事実や数字に基づいた冷静な議論を心がけましょう。
また、事前に被相続人の財産一覧や分配案を準備しておくと、話し合いがより効率的になります。
意見の食い違いが見られる場合は、早い段階で第三者である専門家(弁護士・司法書士など)を交えるのも一つの方法です。
中立的な立場から調整してもらうと、トラブルを最小限に抑え、スムーズな合意形成ができるでしょう。
必要書類は事前に整える
相続金の受け取りには、故人の戸籍謄本や相続人全員の印鑑証明書、遺産分割協議書など、多くの書類が必要になります。
これらを一から集め始めると、役所での発行手続きや郵送のやり取りで時間がかかり、相続金の受け取りが遅れる原因になるでしょう。
そのため、相続が発生したら、早めに必要書類の一覧を確認し、優先的に準備を進める対応が大切です。
特に、戸籍謄本は「出生から死亡まで連続したもの」が必要になるため、複数の自治体に請求するケースもあります。
郵送申請の場合は数日~数週間かかる場合があるため、できる限り早期に対応しましょう。
書類が揃っていれば、金融機関や保険会社での手続きがスムーズに進み、相続金の振り込み時期が大幅に早まります。
専門家のサポートを活用する
相続金の受け取りを早めるためには、金融機関や保険会社への連絡を迅速に行うのも大切です。
相続発生の連絡が遅れると、その分だけ払い戻しや名義変更の処理が後回しになります。
まずは死亡届の提出後、速やかに各機関に連絡し、必要書類や手続きの流れを確認しましょう。
さらに、相続に関する手続きが複雑で不安な場合は、司法書士や税理士などの専門家に相談する方法がおすすめです。
彼らは相続登記や税申告、財産分割などの実務に精通しており、的確なアドバイスや書類作成のサポートを受けられます。
そうすれば、手続きミスによる遅延や二度手間を防ぎ、相続金の受け取りをよりスムーズに進められるでしょう。
相続金を受け取る手続きを進める時の注意点

相続には複数のステップがあり、期限が決まっている手続きや、全員の合意が必要な作業も存在します。
これらを怠ると、相続金の受け取りが遅れるだけでなく、トラブルや法的リスクが生じるかもしれません。
本章では、相続手続きを円滑に進めるために知っておきたい基本的な注意点や、財産管理で気をつけるべき点を具体的に解説します。
よく理解して、手続きの遅延や無用な争いを防ぎ、スムーズに相続を進めましょう。
手続きの期限
相続手続きの中には、期限が決まっているものがあります。
例えば、相続税の申告期限は被相続人が亡くなってから10ヶ月以内となっており、この期限を過ぎると延滞税や加算税が課される可能性があります。
また、相続放棄を選択する場合は、原則、自己のための相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。
期限を守らないと権利が消滅したり不利益を被る可能性があるため、各手続きの締め切りを事前に確認し、計画的に進めましょう。
預金の取り扱い
遺産分割協議完了前の預金引き出しは避けましょう。
預貯金は相続財産の一部であり、相続人全員の共有財産とみなされます。
そのため、一部の相続人が勝手に引き出すと、他の相続人の権利を侵害するかもしれません。
万が一、協議前に引き出してしまった場合、後からトラブルとなり、返還や調整を求められるケースもあります。
安全に手続きを進めるためには、遺産分割協議で財産の分配方法が正式に決まるまで、預金や金融資産には手を付けないようにしましょう。
相続にはマイナス財産も含まれる点
相続では、預金や不動産などのプラス財産だけでなく、借金やローン、未払い税金などのマイナス財産も含まれます。
そのため、相続人が安易に預金を引き出す前に、被相続人に借入金や負債がないかを確認するようにしましょう。
負債を把握せずに引き出してしまうと、後に返済義務や損害補填の問題が発生する可能性があります。
安全に相続手続きを進めるためには、まず財産全体を正確に把握し、プラスとマイナスの両面を踏まえて分配方法を協議するようにしましょう。
まとめ【相続金がいつもらえるかは遺言書の有無や相続の状況で異なる!】
相続金をいつもらえるかは、遺言書の有無や相続人の人数、協議の進み具合によって大きく異なります。
公正証書遺言がある場合は最短2週間ほどですが、遺言がなく複数の相続人がいるケースでは3ヶ月以上時間がかかる場合も。
手続きを早めるには、必要書類を早期にそろえ、相続人同士の連携を密にとり、専門家のサポートを活用する姿勢が重要です。
相続手続きは一人で悩むよりも、専門家に相談する方がスムーズに進められます。
相続でお困りの方は、税理士法人Farrow Partnersまでお気軽にご相談ください。






