定款の作り方を解説!3つの記載事項と株式会社・合同会社別の手順を完全網羅!

経営・管理

定款の作り方を解説!3つの記載事項と株式会社・合同会社別の手順を完全網羅!

「会社設立の手続きを始めたいけれど、何から手をつければいいのかわからない」

「定款(ていかん)という言葉は聞くけれど、具体的に何を決めれば後悔しないのか」

とお悩みではありませんか?

 

定款は会社の憲法とも呼ばれ、組織の運営ルールや事業目的を定める極めて重要な書類です。

現在4万円の印紙代を節約できる電子定款が主流ですが、一方で実質的支配者リストの申告義務化など、最新ルールへの対応も欠かせません。

そこで本記事では、定款に記載する内容や、株式会社と合同会社の定款の違い、作成のポイントなどを解説します。

 

税理士法人Farrow Partnersでは、将来を見据えた定款設計に関する相談を承っております。

事業内容が漠然とされているという方にも、最初の一歩から丁寧にご案内いたします。

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定款(ていかん)とは?

会社設立の第一歩は、定款の作成から始まります。

これは単なる提出書類ではなく、企業の根幹を支える最重要の規則です。

その法的な位置づけから、最新の電子化トレンドまで、定款の基本を解説します。

定款の法的な役割と重要性

定款は会社の憲法とも呼ばれ、組織の運営や株主の権利、事業の目的などを定めた根本規則です。

会社法によって、法人を設立する際には必ず作成し、公証役場や法務局の手続きを経ることが義務付けられています。

一度作成して認証を受けると、その内容は法的拘束力を持ち、会社はこのルールに従って活動しなければなりません。

 

さらに定款は作成して終わりでなく、信頼の証として、銀行口座の開設や融資の審査、許認可の申請時に必ず提出を求められます。

また、将来的に経営者間や株主間でトラブルが発生した際、最終的な判断基準となるのもこの定款です。

いわば、会社の守りと攻めの両面を支える、経営の羅針盤としての役割を担います。

 

関連記事:会社設立に必要な書類10種類を紹介!提出方法や作成のポイント

株式会社と合同会社で定款の役割はどのように違うか

株式会社と合同会社では、定款に求められる性質が大きく異なります。

株式会社は所有(株主)と経営の分離が前提のため、定款は利害関係者を守るための厳格なルールとしての側面が強いです。

そのため、作成後に公証役場で認証を受ける手続きが必須になります。

また内容の変更(定款変更)にも株主総会の特別決議が必要など、手続きが厳格です。

 

一方で、合同会社は所有と経営の一致が特徴で、定款の役割は社員(出資者)間の自治に重きが置かれます。

最大の違いは公証人の認証が不要な点です。

つまり、株式会社の定款は信頼を担保する公的な盾、合同会社の定款は自由な運営を可能にする契約書の意味合いが濃くなります。

 

関連記事:株式会社と合同会社の違いが一目でわかる!あなたの事業に合う会社形態がわかるポイントを解説

電子定款への完全移行

2026年現在、会社設立の実務で紙の定款は過去のものとなり、電子定款への移行が定着しています。

電子定款とは、紙に印刷して印鑑を押す代わりに、PDFファイルにマイナンバーカードなどを用いた電子署名を付与する形式です。

最大のメリットはコスト面で、紙の定款に課される4万円の収入印紙代が、電子形式なら非課税(0円)になります。

 

さらに公証役場へ出向かずにオンラインで認証手続きができるテレビ電話認証も普及しており、設立スピードが向上しました。

ただし、個人が自力で電子署名の環境(専用ソフトやICカードリーダーなど)を整えるのは手間がかかるのがネックです。

そのため、多くの起業家は専門家や設立支援ツールを活用して電子定款を作成しています。

参考:日本公証人連合会 電子定款認証に係る申請方法の拡大について

定款に必ず含めるべき3種類の記載事項

定款の記載内容は、法的な強制力の強さに応じて、絶対的、相対的、任意的内容の3つに分類されます。

これらを正しく組み合わせることで、法令を遵守しつつ、自社の実態に即した独自のルールを構築できます。

1. 絶対的記載事項

絶対的記載事項とは、会社法によって必ず記載しなければならないと定められた項目です。

もし一つでも記載が漏れたり、内容に不備があったりすると、定款そのものが無効となり、会社設立の手続きが進みません。

  • 商号:会社の名称
  • 目的:どのような事業を行うか
  • 本店の所在地:本社を置く場所
  • 出資財産の価額(またはその最低額):設立に際して出資される金額
  • 発起人の氏名および住所:会社を作る人のもの

これら5つの情報は、会社の骨格となり登記事項証明書(登記簿謄本)にも反映される極めて重要な情報です。

作成時には、一文字の誤字脱字も許されないため、細心の注意を払って記載する必要があります。

2. 相対的記載事項

相対的記載事項は、記載しなくても定款自体の効力には影響しません。

しかし、定款に定めておかなければ、その内容を法的に主張(対抗)できない項目になります。

例えば、現物出資などの変態設立事項が代表的で、現金以外の財産を出資する場合、定款に明記しなければその効力は認められません。

また、株式の譲渡制限や役員の任期の延長(最長10年まで)なども該当し、会社が独自の運営ルールを持ちたい場合に重要です。

例えば、役員の任期をデフォルトの2年から延長したい場合、定款にその旨を記載していなければ、法的には2年で任期満了になります。

会社の柔軟な運営を担保するために、自社に必要なルールを慎重に選んで記載する項目です。

3. 任意的記載事項

任意的記載事項は、会社法の規定に反しない範囲で、会社が自由に定めることができる項目です。

  • 定時株主総会の招集時期
  • 事業年度(決算期)
  • 役員の員数(人数)
  • 議長を誰が務めるか

これらは定款に記載しなくても有効ですが、あえて明文化することで、社内のルールを明確にする役割を果たします。

登記義務はありませんが、一度定款に記載すると、変更する際には株主総会の特別決議が必要になるなど拘束力が強いです。

そのため、安易に何でも記載するのではなく、会社の運営指針として固定しておきたい重要なルールに絞って記載されます。

特に事業年度の設定は、節税や資金繰りに直結するため、自社のビジネスサイクルを考慮して慎重に決定すべき項目です。

 

参考:日本公証人連合会 定款等記載例

株式会社の定款作成ステップと注意点

株式会社の定款は、合同会社に比べて所有と経営の分離を前提として厳格に設計されなければなりません。

本章では、発行する株式のルールや機関設計など、株式会社特有の定款作成ステップと注意点を解説します。

株式会社特有の項目を記載する

株式会社の定款には、記載必須事項に加え、将来どこまで株式を発行できるかという発行可能株式総数を記載しなければなりません。

これは、無秩序な増資による既存株主の持ち分比率の低下を防ぎ、経営の安定性を守るための枠組みです。

設立時の発行済株式数の4倍程度に設定するのが一般的ですが、譲渡制限会社であればそれ以上の設定もできます。

 

また、定款内で設立時取締役などの役員を選任しておくと、設立手続きがスムーズです。

役員の任期は原則2年(監査役は4年)ですが、非公開会社であれば定款に定めることで最長10年まで延長できます。

毎年の重任登記にかかるコストと手間を削減でき、小規模な同族企業などでは延長の旨を明記するのが戦略的な選択です。

機関設計をプランニングする

機関設計とは、会社をどのような組織構造で運営するかを決めることです。

株式会社の起業では、会社をどのような構造で運営するか、その意思決定の仕組みをデザインします。

現在の小規模な起業では、機動性を重視して取締役1名のみ(取締役会非設置)とするケースが多いです。

取締役会を置かない場合、意思決定が迅速になり、監査役の設置も任意となるため、運営コストを低く抑えられる点が利点になります。

一方で、将来的に外部からの出資を検討する場合や、対外的な信用力を高めたい場合は、取締役会や監査役を設置する設計が必要です。

一度決めた機関設計を変更するには定款変更の手続きが必要になるため、事業のスケールスピードを考慮した慎重な選択が欠かせません。

株式会社設立時の事業目的の書き方

事業目的は、会社がどのようにして稼ぐかを対外的に示す看板です。

ここで重要なのは、やりたいことを羅列するだけでなく、具体性、適法性、営利性を備える点です。

あまりに抽象的な表現(例:コンサルティング全般)だけでは、事業が不透明と判断され、銀行口座の開設時に不利になりかねません。

また、建設業や宅建業、飲食業などの許認可が必要な事業を行う場合、定款の目的に特定の文言が入っている必要があります。

後から目的を追加するには登録免許税3万円がかかるため、将来行う可能性のある事業も含め、認可要件を満たす文言を記載しておきましょう。

最後に前各号に付帯関連する一切の事業という一文を添え、業務範囲に柔軟性を持たせるのも忘れてはいけないポイントです。

設立方式の選択と定款の仕上げ

最後に、具体的な設立の手続き方法を確定させれば定款は完成です。

選択肢は、発起人だけで全株式を引き受ける発起設立と、外部の出資者も募る募集設立の2種類あります。

特殊な事情がない限り、手続きが極めてシンプルでスピーディーな発起設立を選択するのが一般的です。

 

一方、募集設立は、設立時から大規模な資金調達を行う場合に用いられますが、手続きが非常に複雑になります。

また、公証人の認証後に創立総会を開催する必要がありますが、定款の内容自体に大きな差はありません。

しかし、募集設立では株式を引き受ける者の募集に関する規定などの検討事項が増え、法的なチェック項目も厳格になります。

個人の起業やスモールスタートであれば、まずは発起設立を選択し、定款もそれに合わせたシンプルな構成にするのが現実的な進め方です。

合同会社(LLC)の定款作成ステップと注意点

合同会社は人のつながりを重視した組織形態であり、定款の自由度が極めて高いのが特徴です。

設立コストを抑えつつ、独自のルールを反映させるための具体的な作成ステップと、実務上の注意点を詳しく解説します。

株式会社との最大の違い

合同会社の定款作成で株式会社と事務的に異なるのは、公証役場での定款認証が不要な点です。

株式会社の場合、公証人に内容をチェックしてもらうために約3万〜5万円の認証手数料がかかります。

しかし、合同会社はこのプロセスをスキップして直接法務局へ登記申請が可能です。

 

そのため、設立費用の総額を大幅に抑えられるだけでなく、設立までの日数も短縮できます。

ただし、第三者のチェックが入らないということは、内容に不備があってもそのまま受理(または補正)されてしまうかもしれません。

特に絶対的記載事項の漏れや、法に抵触する独自の規定を設けてしまうと、後々トラブルの原因となります。

認証が不要だからこそ、作成段階でのセルフチェックや専門家による確認が重要になるでしょう。

業務執行社員と代表社員の定め方

次に行うのが、誰が経営を担い、誰が会社を代表するのかという権限の確定です。

合同会社では、出資者のことを社員と呼び、原則として社員全員が業務を行う権利と義務を持ちます。

しかし、出資者が複数いる場合に全員が経営に関わると意思決定が遅れるため、定款で業務執行社員を定めて経営権を限定するのが一般的です。

 

さらに、業務執行社員が複数いる中から、対外的に会社を代表する代表社員を1名以上選任します。

定款への記載方法は、氏名を直接書き込む方法と、定款では定め方のみを決め別途互選書等で選ぶ方法の2種類です。

前者は手続きがシンプルですが、将来の代表交代時に定款変更(総社員の同意)が必要になります。

そのため、事業拡大を見据えるなら後者の定め方のみを記載する手法の方が柔軟に対応ができるでしょう。

利益配分や権限のカスタマイズ

株式会社では出資額に応じた配当が原則になりますが、合同会社は出資比率に関わらず、利益の配分や議決権を自由に設定できます

合同会社なら出資は少ないが技術やノウハウを提供している社員に、利益の5割を配分する定めも定款一つで可能です。

 

この自由度を活かすためには、定款に独自の定めを明記しておく必要があります。

例えば、社員が退社する際の持分の払い戻し方法や、相続が発生した際の承継ルール、重要事項の決定に必要な同意の割合です。

これらをあいまいにしたまま標準的な雛形で設立してしまうと、将来のトラブルを抑止できず、合同会社のメリットを活かせません。

自分たちの組織に最適なルールを言語化し、定款に落とし込む作業こそが、合同会社設立の核心です。

資本金の払い込みと書類の整合性確認

最後の手順として、定款を作成して発起人(社員)全員の署名または記名押印を完了させ、ルール確定後に、代表者の個人口座に資本金を振り込みます。

資本金の払い込みは定款の作成日(または作成日以降)に行わなければなりません

この日付の前後関係は法務局の審査対象となるため、注意が必要です。

 

定款には出資される財産の価額を記載しますが、実際に振り込んだ金額の合計と一致していなければなりません。

振り込み完了後、通帳のコピー等を取り、代表社員が資本金の領収を証明する書面を作成します。

合同会社は認証の手間がない分、こうした書類の整合性を自分たちで厳格に管理しましょう。

また、車やPC等の現物出資があれば、定款の相対的記載事項として明記し、適正な時価評価に基づいて記載する点も忘れてはなりません。

電子定款の作り方

従来の紙による定款作成では、印紙税法に基づき4万円の収入印紙を貼る必要がありました。

しかし、デジタル技術を活用した電子定款を選択すると、この法定費用を完全にゼロにできます。

本章では、電子定款の作成方法と、作成に必要な環境についてみていきましょう。

なぜ電子定款なら収入印紙代(4万円)が0円になるのか

印紙税法では、課税対象を書面(紙)の文書と規定しています。

電子定款はコンピューター上で作成された電磁的記録であり、法的には文書に該当しないと解釈されるため、印紙税の課税対象外なのです。

 

そのため、内容が全く同じであっても、紙で作成するかPDFで作成するかという形式の違いだけで4万円ものコスト差が生まれます。

2026年現在、公証役場での認証手続きもオンライン化が進んでおり、経済的・時間的な合理性から、新規設立法人はほぼ電子定款です。

浮いた4万円を事業の運転資金や備品の購入に充てられるのは、起業直後の経営者にとって大きなメリットになります。

自分で電子定款を作成する際の準備物

自力で電子定款を作成するには、適切なデジタル環境の構築が欠かせません。

まず、発起人の本人確認と電子署名を行うためのマイナンバーカードと、それを読み取るICカードリーダーが必要です。

 

さらに、PDFファイルに公的な電子署名を付与するための専用ソフトも必要になります。

Adobe AcrobatなどのPDF編集ソフトに加え、法務省が提供する登記供託オンライン申請システムの署名プラグインなどを組み合わせて使用します。

また、マイナンバーカードの署名用電子証明書が有効かも、事前に確認しておかなければなりません。

これらのツールを揃えるだけで数千円から数万円の初期費用がかかる場合があります。

しかし、紙の印紙代4万円と比較すれば、十分にコストを抑えられるでしょう。

初心者がおちいる電子署名の技術的ハードルと解決策

電子定款作成で初心者が苦戦するのは、電子署名の環境設定です。

PDFソフトと署名プラグインの互換性エラーや、ブラウザの設定不備で、署名が正しく付与されないトラブルが多発します。

まずは、法務省の公式サイトにある操作手引書を熟読し、推奨されるOSやソフトのバージョンを厳守しましょう。

 

また、最近ではICカードリーダーがなくてもスマートフォンでマイナンバーカードを読み取り、クラウド上でも署名が可能です。

IT操作に不安がある場合は、無理に自力ですべてを完結させようとせず、後述する専門家や支援ツールの利用を検討したほうが、時間を無駄にしないで済みます。

専門家や設立支援ツールを活用するメリット

多くの起業家が専門家やクラウド型の設立支援ツールを利用する理由は、単なる代行以上の価値があるからです。

専門家(司法書士・行政書士)に依頼すれば、4万円の印紙代が不要になるだけではありません。

定款の内容に法的な不備がないか、銀行融資や許認可に影響しないかといったプロの視点によるチェックが受けられます

 

また、クラウドツールを活用すれば、画面の指示に従って入力するだけで電子定款の作成から署名依頼までが自動化されます。

専門家への報酬が発生しても、印紙代の4万円が浮く分でその費用の多くを相殺できるケースがほとんどです。

電子定款作成の場合は、無理せず専門家を頼る選択肢も持ちましょう。

定款の認証と保管

定款は作成して終わりではありません。

株式会社の場合、公証人による「認証」を受けて初めて法的な効力を持ちます。

本章では、2026年現在の最新ルールに基づいた認証の手順と、設立後に求められる適切な管理方法をみていきましょう。

公証役場での定款認証手続きと費用の支払い

公証役場とは、法務局に所属する公的な専門家(公証人)が執務を行う場所です。(参考:日本公証人連合会 公証役場一覧

株式会社を設立する場合、作成した定款が正当な手続きで作成されたことを公証人に証明してもらう「認証」が必須です。

手順は以下のとおりです。

  1. 管轄の公証役場へ事前に連絡
  2. 定款案のチェックを受ける
  3. オンライン(電子認証)または役場へ出向いて認証を受る

費用は、資本金の額に応じて段階的に定められており、100万円以上300万円未満なら4万円、300万円以上なら5万円です。

資本金100万円未満の場合は原則3万円ですが、発起人が全員個人かつ3人以下・取締役会なし・発起設立という条件をすべて満たす場合は、2024年12月1日以降1万5,000円に引き下げられています。

これに加えて、謄本(コピー)代として数千円の実費がかかります。

 

認証を受けることで、定款の内容が確定し、後の登記申請が可能になります。

合同会社にはないこのステップが、株式会社の「公的な信頼性」を担保する重要な関門となっています。

実質的支配者リストの申告と本人確認の厳格化

認証の手続きを進める上で、2026年現在避けて通れないのが、マネーロンダリング防止を目的とした厳格な本人確認です。

これは、会社の意思決定を実質的に支配する個人(通常は議決権の25%超を持つ株主など)が誰であるかを公証人に届け出る制度です。

認証の手続き前に、専用の申告書と実質的支配者の本人確認書類を提出しなければなりません

 

また、発起人全員の印鑑証明書や身分証の提示も必須になります。

しかし、近年ではマイナンバーカードを用いた電子署名とテレビ電話認証の組み合わせで、対面なしでの確認も一般的になりました。

この手続きを怠ると認証が受けられないため、設立スケジュールの初期段階で必要書類を揃えておくことが大切です。

認証完了後は原本、謄本、控えを適切に保管する

認証が完了すると複数の書類が発行されますが、それぞれの役割を正しく理解し、法律に基づいた管理を行わなければなりませ。

原本は公証役場に保管され、会社には原本と同一内容であることを証明した謄本(とうほん)が交付される仕組みになっています。

 

法務局への設立登記申請のためには謄本を使用し、手元に残った謄本は会社の原本として保管しなければなりません。

法人税法等の規定に基づき、本店の所在地で永久的(最低でも10年間)に保管するのが義務です。

紛失した場合、公証役場で再発行が可能ですが、手数料がかかるため、金庫やクラウドストレージなどで確実に管理しましょう。

口座開設や諸手続きに向けた原本証明付きコピーを準備する

会社設立後、銀行口座の開設、社会保険の加入手続き、税務署への届け出など、あらゆる場面で定款のコピーを求められます。

この際、単にコピーを取るだけでなく、原本と相違ないことを証明する一文(原本証明)と、代表者印の押印が必要です

 

特に銀行審査では、最新の定款であるかどうかが厳しくチェックされます。

設立後に定款内容を変更(商号変更や目的追加など)した場合は、古い定款のコピーでは使用できません。

変更後の議事録を添えるか、現在の内容を反映した現行定款の提出が必要です。

手続きごとに、コピーで可能なのか、謄本の原本が必要なのかは異なります。

提出先の指示を事前によく確認し、予備のコピーを多めに用意しておくとスムーズです。

定款作成でよくある失敗事例と回避策

定款は一度認証・登記されると、修正するだけでも法的な手続きと費用が発生します。

本章では、起業家が陥りやすい失敗事例と、それを未然に防ぐための具体的な回避策をまとめました。

訂正印(捨印)と変更登記にコストがかかる

定款作成における単純な入力ミスや誤字脱字は、決して軽微なミスでは済みません。

認証前であれば修正可能ですが、公証人の認証を受け、さらに法務局で登記が完了した後にミスが発覚すると厄介です。

その一箇所を直すためだけに定款変更の株主総会決議と変更登記が必要になります。

この変更登記には、登録免許税として最低3万円(商号や目的の場合)の実費がかかり、専門家へ依頼すれば別途報酬が必要です。

 

回避するには、定款の余白に捨印(すていん)を押しておきましょう。

捨印があれば、軽微な誤字については公証人の職権で訂正が可能になります。

電子定款でも、電子署名による訂正スキームを事前に確認すれば、一文字のミスで数万円を失うリスクを抑えられるでしょう。

決算期(事業年度)の設定ミスで、設立直後に確定申告が来てしまう

起業時によくある失敗が、事業年度(決算期)を深く考えずに設定してしまうことです。

例えば、3月に会社を設立し、決算期も3月末にすると、設立からわずか数週間で最初の決算作業と確定申告に追われてしまいます。

これでは事業に集中できないばかりか、設立費用の計上や税理士報酬などの負担が重くのしかかるでしょう。

 

理想的な回避策は、設立日から数えて最も遠い月を決算期に設定することです。

そうすれば、最初の事業年度を最長の12ヶ月近く確保でき、資金繰りや節税対策に余裕が生まれます。

また、消費税の免税期間を最大限に活用できるよう、売上予測や資本金額と照らし合わせて

決算月を決めましょう。

キャッシュフローを守るためには重要な戦略です。

公告方法の選択ミスで、毎年のコストや変更費用が膨らんでしまう

株式会社には、決算内容などを一般に知らせる公告の義務があり、定款でその方法を定めます。

多くの起業家が官報電子公告かで迷いますが、安易に決めてしまうと将来のコストや管理の手間で後悔しかねません。

 

自社サイトに掲載する電子公告は、掲載費用をゼロに抑えられる点が魅力ですが、定款に詳細なURLを明記する必要あります。

もしサイトのリニューアルなどでURLが変われば、その都度、定款変更の手続きと登録免許税の支払いが発生するリスクを抱えることになります。

また、決算公告を5年間ウェブ上に据え置くといった厳格な管理ルールも守らなければなりません。

回避策

小規模なスタートアップであれば、まずは運用が確立されている官報を選択するのが無難です。

官報は掲載のたびに数万円の費用がかかりますが、定款への記載がシンプルで済み、URL変更のような余計な登記費用もかかりません。

事業が軌道に乗り、コストメリットが上回る段階になってから、規模拡大に合わせて電子公告へ移行するのが良いでしょう。

定款の作り方に関するよくある質問

定款の作成には何日くらいかかりますか?

電子定款であれば通常2〜3日、紙の定款の場合は1週間〜10日程度が目安です。

 

なお、定款の作成から手続き完了までにかかる期間は、各ステップの進め方や予約のタイミングによって前後することがあります。

スムーズに進められるよう、事前におおまかなスケジュールを把握しておくと安心です。

定款はどのタイミングで作成しますか?

定款は、株式会社や合同会社を設立する場合に必要です。

また、発起人や社員になろうとする方が定款を作成する必要があります。

定款は法人登記よりも前の段階で準備しなければならない書類になるため、事前に用意しましょう。

定款は自分で作れますか?

定款は、法人設立に欠かせない重要な書類ですが、行政書士や司法書士などの専門家に依頼しなくても、ご自身で準備することが可能です。

ただし、定款には法律で定められた記載事項のルールがあるため、その点は注意しましょう。

また、株式会社の場合は作成後に「定款認証」という手続きが必要になるため、事前に手続き方法を確認しておきましょう。

 

まとめ|正確な定款作成がスムーズな会社設立の鍵

定款は会社の憲法であり、一度作成すると変更には数万円の費用を伴うため、設立時の設計が肝心です。

2026年現在は電子定款による4万円のコスト削減が標準ですが、将来の融資や許認可を見据えた戦略的な条文構成が求められます。

IT操作に慣れており、設立費用を極限まで抑えたいなら、自分で作成する選択も可能でしょう。

許認可が必要な業種や、将来の出資、事業拡大を視野に入れているなら、専門家の利用をおすすめします。

 

税理士法人 Farrow Partners では、事業の成長を止めない最適な定款設計のアドバイスまでサポートいたします。

目先の安さだけでなく、数年後の経営のしやすさを見据えた、オーダーメイドな定款を形にしましょう。

そのためのパートナーとして、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

お問い合わせ | 横浜市都筑区の税理士法人 Farrow Partners(ファローパートナーズ)

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