【現役税理士監修】資本金の決め方はいくらが正解?金額の目安と損しない3つの注意点

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【現役税理士監修】資本金の決め方はいくらが正解?金額の目安と損しない3つの注意点

法人化のため、会社設立の書類を作成し始めたものの、資本金の額を入力する欄で手が止まってしまう経験はありませんか。

 

資本金は1円から設定可能とはいえ、本当に1円で設立してよいものか、何万円が適切なのか、不安に思うのは当然です。

 

資本金額は、設立後の税金の優遇措置(節税)や銀行の法人口座開設や創業融資の審査などに直結する極めて重要な経営数値です。

 

適当に決めてしまうと、後から変更するには定款変更の手続きや登録免許税(最低3万円〜)などの余計なコストがかかります。

 

そこで本記事では、資本金の平均的な相場や金額別のメリット・デメリット、税金や融資を受ける際に損しないための注意点を、現役税理士の視点から徹底解説します。

 

最後まで読めば、ご自身の状況に合った資本金額を決定し、迷いなく会社設立の手続きができるようになるはずです。

 

税理士法人Farrow Partnersでは、資本金の決め方に関する相談も承っております。

お気軽にご相談ください。

 

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会社設立時の平均資本金データと相場

まずは、多くの会社が採用する資本金の相場観と、資本金額ごとの特徴を整理していきましょう。

 

これまで、日本の商法では、株式会社を設立するためには最低1,000万円以上(合同会社・有限会社は300万円以上)の資本金が必要でした。

 

しかし、2006年(平成18年)に施行された新会社法、この最低資本金制度は撤廃され、現在では資本金1円からでも会社を設立できるようになっています。

 

参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構 ビジネスQ&A 創業 新会社法って何ですか?資本金1円でも会社が設立できると聞きました。

 

では、制度が変わった現在、実際に設立されている会社の資本金はいくらになったのでしょうか。

 

法務省の登記統計(2026年5月分)によると、新たに設立された株式会社の資本金の分布は以下のとおりです。

資本金階級全体に対する割合
100万円未満(1円〜99万円)約30.8%
100万円以上〜300万円未満約40.5%
300万円以上〜500万円未満約11.8%
500万円以上〜1,000万円未満約12.5%
1,000万円以上~2,000万円未満約2.7%
2,000万円以上約1.7%

 

会社法改正で資本金1円の設立が可能になりましたが、実際は100万円〜300万円未満での創業が約4割と最多です。

 

300万円未満を含めると全体の約7割を占め、多くの企業が現実的な運転資金や信用度を意識して設定しています。

 

適切な資本金額の設定は、周囲の傾向だけで判断せず、事業に必要な準備金や将来のリスクを見極めることが重要です。

 

参考:政府統計の総合窓口(e-Stat) 種類別・資本金階級別 会社の資本金の額の変動の件数及び金額(2026年5月のデータより算出)

 

資本金額の決め方はいくらが正解?資本金額別のメリット・デメリット比較

統計データでは資本金100万円〜300万円未満で設立する企業が多数でしたが、実際にこの金額規模で創業した場合、どのような影響が生じるでしょうか。

 

本章では、起業時に検討される、1円、100万円、300万円、1,000万円の4つのパターンを比較し、それぞれのメリット・デメリットから最適な資本金額を見極めるポイントを整理します。

 

資本金額この金額で起業する層メリットデメリット
1円資金が全くない事業主手元の現金がなくても起業できる信用ゼロ、口座開設困難、設立時点で債務超過
100万円Web系・コンサルなど固定費が低い個人事業主*手元資金を圧迫せずスタートできる融資の上限が低くなる場合がある
300万円BtoB取引を行う企業、店舗型、一般的な法人成り信用・融資・節税のバランスが最も良いある程度の自己資金の準備が必要
1,000万円潤沢な資金を持つ企業、許認可が必要な業種高い社会的信用が得られる初年度からの消費税課税に注意

*個人事業主の場合は元入金

【1円起業】法的には可能だがデメリットが大きい

1円でも会社が作れるなら、資本金は1円でいいのではと考える方もいるかもしれません。

しかし、実務上1円起業はデメリットの方が大きいため、特別な事情がない限りおすすめできません。

理由は以下の3つです。

 

  1. 債務超過(赤字)になりやすい
  2. 法人口座の開設審査に落ちやすくなる
  3. 日本政策金融公庫などの創業融資で不利になる

債務超過(赤字)になりやすい

会社を設立すると、公証人役場や法務局へ支払う設立費用(登録免許税や定款認証代など)や、印鑑作成代などで最低でも15万〜20万円ほどの現金が出ていきます。

 

資本金が1円の場合、設立した瞬間に決算書上の資産を負債が上回る債務超過状態となり、決算書の見栄えが悪くなります。

法人口座の開設審査に落ちやすくなる

近年、マネーロンダリングや特殊詐欺防止のため、メガバンクやネット銀行の法人口座開設審査は非常に厳しくなっています。

 

資本金1円の会社は、実体がないペーパーカンパニーではないか、悪用目的ではないかと疑われやすくなります。

 

結果、口座開設を拒否されるリスクが上がります。

日本政策金融公庫などの創業融資で不利になる

創業融資の審査では、資本金額が創業者の本気度や自己資金として評価されます。

 

2024年の制度改定で自己資金の要件そのものは撤廃されましたが、審査では引き続き自己資金の準備状況が重視されます。

 

そのため、資本金1円では希望する融資を受けることが難しくなります。

参考:日本政策金融公庫 Q&A START 政策金融公庫の創業支援 Q8自己資金はいくらあれば融資を受けられますか

【100万円】少額スタートしたいWeb系・IT個人事業主のライン

自宅で一人でWeb制作やコンサルティングを行う場合や、オフィス契約も不要で固定費がほぼかからないスモールビジネスの場合、資本金100万円はバランスが良い金額です。

 

手元の運転資金を極端に減らすことなく、1円起業のような信用失墜リスクも回避できます。

 

一方で、派遣事業(要2,000万円以上)など資本金の要件が定められている許認可業種には参入できない点や、大手企業との取引・高額コンペの際に与信審査で不利になる場合がある点には注意が必要です。

【300万円】信用・融資・資金繰りでバランスがよい

100万円層がリスクを抑えた一人起業中心なのに対し、300万円層は法人取引や融資獲得を見据える成長重視の層です。

 

将来の事業拡大や数ヶ月分の運転資金確保を見越し、対外的な信用度を高めて起業したい場合は、300万円を目安にすることをおすすめします。

 

理由は以下の3つです。

 

  • 旧商法における有限会社の最低資本金と同水準であり、一定の事業規模があると評価されやすく、BtoB取引でも与信上の懸念を生じさせない。

 

  • 銀行における法人口座の開設審査もスムーズに通過しやすい。

 

  • 創業融資の申請時でも、600万〜900万円規模の資金調達を目指せる現実的な自己資金規模となる。

 

このように、100万円での少額スタートに比べて対外的な信用度が高まり、資金繰りや取引拡大の面でも大きなメリットが得られます。

【1,000万円】設立初年度から消費税の納税義務が発生する

手元の資金が豊富にあり、信用を高めるために資本金1,000万円でスタートすることを考える方は要注意です。

 

税制上、資本金を1,000万円以上(1,000万円ちょうどを含む)に設定して会社を設立すると、初年度から消費税の納税義務が生じます。

 

例えば、初年度の売上が2,000万円(利益500万円)だった場合、資本金を999万円にしておけば消費税は0円(免税)で済みます。

 

なぜなら、設立1期目・2期目には、消費税の免税事業者特例が適用されるため、税金が免除されるためです。

 

しかし、資本金が1,000万円の場合、上記の売り上げがあれば、初年度から消費税の支払いが一気に発生します

 

知識の有無だけで納付額が大きく変わるからこそ、税金の仕組みを正しく知っておくことが大切です。

 

特別な理由がない限り、設立時の資本金は999万円以下(1,000万円未満)に抑えるのが鉄則です。

 

参考:国税庁 No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例

 

参考記事:法人化はいつすべき?タイミングを逃さない判断基準と法人化のメリット・デメリットを解説

 

損しないための注意点①:節税を狙うなら資本金は「999万円以下」に設定すること

前章では、設定する資本金に応じたメリット・デメリットを整理しました。

 

本章以降では、会社設立後に税制や資金調達の面などで不利益にならないよう、事前におさえておくべき注意点を解説します。

 

初めに注目すべきなのは、税務上の影響です。

 

特に消費税および法人住民税の均等割は、資本金が1,000万円以上か否かによって適用される税制が異なり、税負担が大きく変化するため注意が必要です。

 

税目しきい値資本金999万円以下資本金1,000万円ちょうど資本金1,000万円超
消費税1,000万円以上で課税設立1期目・2期目は原則免除(インボイス登録しない場合)初年度から課税事業者初年度から課税事業者
法人住民税1,000万円超で増額年額7万円*年額7万円*年額18万円*

*東京都の場合

消費税免税のラインは資本金1,000万円未満

会社設立における節税対策のなかで、特に影響が大きいのが免税事業者特例の活用です。

 

新規設立法人の場合、設立時の資本金を1,000万円未満に設定すると、設立1期目および2期目の消費税納税が原則免除(免税事業者)となります。

 

なお、1,000万円未満とは1,000万円を含まない金額(999万円以下)を指します。

 

そのため、ちょうど1,000万円に設定してしまうと設立初年度から課税事業者となる点には注意が必要です。

 

この特例を活用すれば、飲食・美容・個人向けサービスなどのBtoCビジネスや免税取引が中心の事業の場合、手元により多くのキャッシュを残せます。

 

ただし、BtoB取引を中心に展開し、インボイス制度(適格請求書発行事業者)への登録を選択する場合は、初年度から課税事業者となるため消費税の申告が必要です。

 

参考:国税庁 No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例

設立1期目にかかる消費税のシミュレーション

ではここで、資本金を1,000万円に設定した場合と999万円に設定した場合に、消費税の納付額にどのくらいの差が出るかシミュレーションしてみましょう。

 

前提条件は以下です。

  • 設立1期目の課税売上高(税抜):3,000万円(受け取った消費税額:300万円)
  • 経費・仕入にかかった消費税額:100万円

 

資本金消費税の納付額
999万円0円(免税特例が適用されるため)
1,000万円200万円(300万円−100万円)

 

シミュレーション結果を見ると、資本金がわずか1万円違うだけで、200万円のキャッシュが税金として手元からなくなることがわかります。

 

特別な事情(後述する許認可要件など)がない限り、設立時の資本金は999万円以下で事業を円滑に進められる金額にするのが妥当です。

設立2期目にかかる消費税の注意点

資本金を999万円以下にすれば、無条件で2年間ずっと免税になるわけではありません。

 

2期目の免税判定には別の判定ライン(特定期間)が存在します。

 

特定期間のルールとして、設立1期目の始日から最初の6ヶ月間における、売上高および給与支払額の両方が1,000万円を超えた場合、設立2期目からは自動的に消費税の課税事業者となります。

 

もし1期目上半期の売上が順調に伸びそうな場合は、役員報酬や従業員給与の支払額の合計を1,000万円未満に抑えると、2期目も免税特例を維持できます。

 

参考:国税庁 No.6501 納税義務の免除

法人住民税の年額が変わるラインは資本金1,000万円

会社を法人化すると、売上が赤字(利益ゼロ)でも、存続しているだけで毎年納めなければならない税金があります。

 

それは、法人住民税の均等割(きんとうわり)です。

 

均等割の金額は、資本金等の額と従業員数(50人以下か50人超か)によって段階的に定められています。

 

多くの自治体(東京都23区など)で、従業員50人以下の標準的な均等割額の境界線は以下になります。

 

資本金等の額法人住民税「均等割」の年額目安

(従業員50人以下)

1,000万円以下約7万円/年
1,000万円超〜1億円以下約18万円/年
1億円超〜10億円以下約29万円/年

参考:東京都 主税局 法人事業税・法人都民税 法人都民税について (2)均等割 均等割りの税率表 より

 

資本金が1,000万円を超えると、会社の損益に関係なく、毎年差し引かれる固定コストが11万円以上アップします。

 

均等割の観点からも、特別な事情がなければ、資本金1,000万円のライン以下をキープするのが安全です。

 

損しないための注意点②:口座開設・融資・対外的信用には資本金300万円を確保

ここまでは、資本金の設定で損しないための、税金面の注意点を見てきました。

 

ここからは、法人の口座開設や融資、対外的な信用力の面で失敗しないための注意点を解説していきます。

法人口座開設(メガバンク・ネット銀行)の審査における最低基準は資本金100万円以上

近年、振り込め詐欺やマネーロンダリングなどの犯罪に法人名義口座が不正利用されるケースが急増しています。

 

これを受け、金融庁の指導のもと、メガバンク(三菱UFJ・三井住友・みずほ等)や各種ネット銀行(GMOあおぞら・楽天・PayPay銀行等)の口座開設審査は極めて厳格化されています。

 

資本金が数万円〜十数万円程度の場合、本当に実態のある会社かと不審感を持たれ、決算書や契約実績がない新設法人は審査でお断りにされる確率が高くなります。

 

法人口座の審査をスムーズに通すためには、資本金100万円以上が一つの目安となります。

 

また、単に資本金の金額だけでなく、資本金をどのようにして用意したのか(自己資金の形成プロセス)も見られます。

 

個人の通帳の履歴で、数ヶ月〜数年にわたってコツコツ貯めてきた痕跡があれば、本気で事業に取り組む準備をしてきたと評価されます。

 

参考:みずほ銀行 資本金100万円で会社設立は可能?事業運営上のリスクや最適額、決め方を解説

日本政策金融公庫・創業融資で狙える金額は自己資金の2〜3倍が目安

新しく事業を始める際、多くの起業家が利用するのが、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金や、自治体の制度融資です。

 

公庫の創業融資において、担当者が重視する指標の一つが、資本金として扱われる自己資金の金額です。

 

制度上の要件では最低限の自己資金割合しか規定されていませんが、実際に狙える融資額は、自己資金の2〜3倍程度が一つの目安とされています。

 

資本金の額によって、現実的に狙える融資の目安は以下になります。

 

  • 資本金100万円の場合:現実的に狙える融資額は200万円〜300万円程度
  • 資本金300万円の場合:現実的に狙える融資額は600万円〜900万円程度

 

資本金があまりに少なすぎると、公庫から、事業に対する自己リスクの取り方が甘いとみなされ、希望する融資金額を引き出すことが難しくなります。

 

そのため、法人口座の開設や融資審査をスムーズに進めるうえでは、最低でも100万円以上、できれば300万円の資本金を確保しておくとよいでしょう。

BtoB取引で新規取引先から不信感を持たれないためには300万円から500万円を準備

個人向け(BtoC)ではなく、企業(BtoB)を相手にビジネスを行う場合、資本金の額は取引先与信の重要項目となります。

 

企業が新規の取引先と契約を結ぶ際、相手企業の信用調査を行ったり、登記簿謄本を取り寄せたりします。

 

その際、資本金が数万円〜10万円程度の会社は、万が一支払い遅延が起きた時に回収できないとみなされる可能性があります。

 

体力がなくすぐに倒産するリスクがあると判断された場合、口座開設や与信枠の設定を拒否されるかもしれません。

 

大手や上場企業の与信・コンプラ審査を通過するには、最低でも資本金300万〜500万円の準備が望ましいです。

 

損しないための注意点③:許認可・業界ルールによっては資本金が2,000万円以上必要になる

前章までは、税制面や資金調達のバランスを踏まえ、資本金1,000万円未満での設立が適切な点を解説してきました。

 

しかし、展開する事業の領域によっては、税務上のメリットが大きい設定でも、法令上の許認可要件を満たしていなければ事業の認可が下りません。

 

要件を満たさない少額資本で登記を完了させてしまうと、許認可申請時に追加入金や定款変更・再登記が必要となり不要な費用と手間が発生してしまいます。

 

以下に、設立時に一定以上の資本金(または自己資本額)が法律で義務付けられている代表的な業種を整理しました。

 

業種・ビジネスモデル必要な許認可名必要な最低資本金(資産要件)の目安
労働者派遣事業派遣事業許可1事業所あたり2,000万円以上(+現預金要件あり)*1
有料職業紹介事業職業紹介事業許可1事業所あたり500万円以上(+現預金要件あり)*2
建設業建設業許可(一般)自己資本500万円以上(資本金500万または資金調達力)*3
旅行業第1種〜第3種旅行業者第1種:3,000万円以上、第2種:700万円以上、第3種:300万円以上*4

参考:

*1厚生労働省 労働者派遣事業を適正に実施するために -許可・更新等手続マニュアル-より

*2厚生労働省 職業紹介事業パンフレット ―許可・更新等マニュアル―より

*3国土交通省 建設業の許可許可の要件

*4e-Gov法令検索 旅行業法施行規則 (財産的基礎) 第三条より

 

設立を検討している業種の基準を確認し、規定に合わせた最適な資本金を用意して手続きを進めましょう。

 

事業規模に合った資本金の計算シミュレーション

ここまでは、税制、対外的信用、許認可の条件を踏まえて、資本金額の目安を解説してきました。

 

本章では、会社設立にかかる初期費用や、事業継続にかかる運転資金から、事業規模に合った最適な資本金額を計算する方法を解説します。

適切な資本金額の計算式:初期費用+運転資金3〜6ヶ月分

手元の自己資金から、資本金をいくらに設定すべきかを割り出す基本の計算式は、以下の通りです。

 

適切な資本金額=会社設立時の初期費用+(1ヶ月あたりの固定費×3~6ヶ月)

 

万が一、売上が数ヶ月間ゼロになっても、会社が存続できる現預金を資本金の額として設定するのが合理的です。

ステップ①会社設立時にかかる初期費用(イニシャルコスト)の算出

計算をするにはまず、会社を設立して事業をスタートするまでに必要な初期費用を洗い出しましょう。

 

以下は、会社設立から事業開始までにかかる代表的な初期費用の内訳です。

 

分類項目・内容費用の目安補足・ポイント
会社設立の公的手続き費用

(実費)

登録免許税15万円(株式会社)

6万円(合同会社)

法定の登記費用(最低額)
定款認証手数料・印紙代約3万円〜5万円株式会社のみ発生(電子定款利用で印紙代4万円は不要)
会社実印・角印・銀行印作成代約5,000円〜2万円登記や口座開設・契約時に必須
登記事項証明書・印鑑証明書約3,000円各種手続き用の証明書取得費用
事業開始のための準備費用PC・周辺機器・オフィス備品約10万円〜30万円業務に必要なIT環境・家具の導入
事務所・店舗の賃貸初期費用約30万円〜100万円敷金・礼金・保証金・仲介手数料など
Webサイト・ロゴ・名刺作成費約10万円〜50万円販促・ブランディングの初期費用
初期費用合計(概算目安)約60万円〜200万円自宅開業・既存機器利用等で抑えることも可能

 

これらを合計した金額が、会社設立時にかかる初期費用イニシャルコストになります。

 

なお、これらすべての費用が必ず発生するわけではありません。

 

ご自身の事業形態(自宅開業か賃貸事務所かなど)に合わせて、必要な項目を適宜ピックアップして計算してください。

 

関連記事:開業費とは?計上できる費用と仕訳方法、節税のポイントを徹底解説

ステップ②売上がゼロでも会社を維持できる運転資金(ランニングコスト)の算出

次に、売上の入金が遅れたり、顧客獲得に時間がかかったりした場合でも、毎月必ず発生する固定費を算出します。

 

  • 役員報酬(社長自身の給与)
  • オフィス家賃・共益費・駐車場代
  • サーバー代・ツール利用料・通信費
  • 広告宣伝費・外注費
  • 顧問税理士への月額報酬

 

仮に1ヶ月の固定費(ランニングコスト)が50万円かかる事業なら、3〜6ヶ月分の運転資金として150万〜300万円が必要になります。

 

関連記事:資金繰りを改善するには?今すぐ実践できる改善方法10選を徹底解説!

資本金の計算シミュレーション

具体的にどのような金額になるのか、Webエンジニア・コンサルタント(店舗なし・1人創業)を例にシミュレーションしてみます。

 

区分項目・内訳金額
初期費用法人設立の手続き実費(株式会社)約24万円
開発・業務用PCおよび周辺機器の新調費約20万円
ドメイン・サーバー・名刺作成・会社印鑑等約6万円
初期費用小計約50万円
固定費(月額)役員報酬(生活維持費)30万円
ツール・SaaS利用料・通信費5万円
広告宣伝・交際・交通費5万円
1ヶ月あたりの固定費小計約40万円
運転資金40万円/月×6ヶ月分240万円
算出合計初期費用(50万円)+運転資金(240万円)290万円

 

この場合、資本金は290万円とするか、キリ良く300万円に設定します。

 

会社設立時の資本金に関するよくある質問(FAQ)

Q1:資本金として振り込んだお金は、設立後すぐ事業に使ってもよいですか?

A:はい。設立初日から備品購入や給与、家賃などの支払いに自由に使うことができます。

資本金は一度口座に入金したら、一定期間引き出してはいけない、と誤解されている方がいます。

 

しかし、資本金は、金庫に鍵をかけて保管しておくお金ではなく、事業をスムーズに動かすための運転資金です。

 

設立登記が完了し、法人口座が開設された段階で、資本金として入金したお金は会社の事業資金としてさまざまな用途に活用できます。

Q2:資本金額が多いほど税金は高くなりますか?

A:1,000万円未満の範囲であれば、税金は一律です。

例えば、資本金が100万円の会社と、資本金が500万円の会社を比べた場合、毎年納める法人税や法人住民税の金額に差はありません。

 

税金が高くなるのは、本記事で解説した、資本金を1,000万円以上にした場合と、大企業の基準となる資本金が1億円を超えたタイミングになります。

 

そのため、資本金額は100万円〜999万円の間であれば、税金額を気にすることなく、事業に必要な金額を設定して大丈夫です。

 

参考:国税庁 No.5759 法人税の税率

参考:東京都 主税局 法人事業税・法人都民税 法人都民税について (2)均等割 均等割りの税率表 より

Q3:設立後に増資(資本金を増やす)するのは簡単ですか?

A:手続き自体は可能ですが、追加のコストと手間がかかります。

設立後に事業が軌道に乗り、資本金を増やしたい場合は、増資(有償増資)ができます。

ただし、以下のデメリットが生じます。

 

  • 登録免許税が発生する:増資する額の0.7%(最低3万円〜)の税金がかかる。
  • 手続きの手間がかかる:株主総会の開催、定款変更、法務局への登記申請手続きが必要になる(司法書士へ依頼する場合は別途報酬約3万〜5万円が発生)。

 

創業後に増資することも可能ですが、かかるコストを考えると、設立段階で無理のない最適な金額を設定しておくことが大切です。

 

Q4:資本金を現物出資(パソコンや車など)で用意することはできますか?

A:可能です。ただし、500万円を超える場合は注意が必要です。

現金ではなく、自身が所有しているパソコン・自動車・不動産・有価証券などのモノを資本金として会社に組み入れることを、現物出資(げんぶつしゅっし)と呼びます。

 

手元に現金があまりない場合に資本金を増やす手段として有効です。

 

現物出資の総額が500万円以下の場合は、裁判所が選任する検査役の調査が不要となり、個人でも手続きを進められます。

 

500万円を超える場合は原則として検査役の調査が必要となり、弁護士や公認会計士などの証明を受ける方法もありますが、時間と費用がかかります。

 

ただし、個人から法人へ資産を譲渡した扱いになるため、譲渡した物品の種類や価格によっては、個人側に譲渡所得税が課されるケースがあります。

 

現物出資を検討する際は、あらかじめ税理士へご相談することをおすすめします。

 

まとめ:経営に適切な資本金額を設定して、安心できる会社設立を

本記事では、会社設立における資本金の決め方について、税金・信用・許認可の観点から総合的に解説してきました。

 

最後に、資本金の設定で迷ったときの目安を確認します。

 

  • 会社設立時の平均的な金額:100万円〜300万円未満が最多で、300万円未満が全体の約7割。融資や対外的信用を重視するなら300万円が一つの目安。

 

  • 税金で損しない金額:消費税免税特例と均等割を考慮し、「999万円以下(1,000万円未満)」にする。

 

  • 許認可から判断する金額:派遣業(2,000万円〜)や建設業(500万円〜)など、法令上の要件がある場合はそれを優先する。

 

  • 計算で算出する金額:「初期費用+運転資金3〜6ヶ月分」を自己資金でまかなえる範囲で設定する。

 

本記事を参考に自信を持って最適な資本金額を定め、法人化に向けた具体的な手続きを進めていただければ幸いです。

 

税理士法人Farrow Partnersでは、資本金の決め方に関するご相談も承っております。

まずは一度お気軽にご相談ください。

お問い合わせ|横浜市都筑区の税理士法人Farrow Partners(ファローパートナーズ)

 

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