企業を経営していれば、一度は「資金繰りが苦しい」と感じる場面があるかもしれません。
一時的に手元資金が不足し、経営判断を迫られる局面に直面することもあるでしょう。本記事では、資金繰りが苦しいと感じたときに実践すべき対処法を、5つのステップで分かりやすく紹介します。
経営を立て直し、会社を長期的に強くする方法やよくある質問も取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。
税理士法人Farrow Partnersでは、資金繰りやキャッシュフロー改善に関する無料相談を実施しています。
資金繰り表の作成や計画の見直しなど、貴社の状況に合わせた実践的な解決策をご提案いたします。
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焦りを感じるときこそ、落ち着いて一つずつやるべきことを進めましょう。
ここでは、資金繰りが苦しいときに行う緊急でやるべき対応を、5つのステップに分けて紹介します。
まずは、自社の資金状況を正確に見える化することから始めます。
手元資金の残高や今後数ヶ月の入出金予定を洗い出し、資金繰り表(キャッシュフロー表)を作りましょう。
売上代金の入金日や各支払い予定日を一覧にすれば、いつ、いくら不足しそうかが一目で分かります。
資金ショートのタイミングと規模を把握すれば、取るべき対策も明らかになるでしょう。
現在の自己資金でどこまで支払いを賄え、いくら不足するのか、まずは現状を数字で捉えるのが大切です。
次に、資金繰り悪化の原因を洗い出しましょう。
自社のどこに問題があるかを特定できれば、優先的に取り組むべき対策が見えてきます。
例えば、利益率の低下でそもそも利益が出ていない、売掛金の回収が滞り現金が入ってこない、借入金の返済負担が重すぎるなど様々な理由が考えられます。
原因を見極め、場当たり的でない的確な改善策につなげましょう。
資金繰り悪化の主な原因については、関連記事「会社の資金繰りが厳しいときに取るべき対応策!資金調達の種類も解説」のセクション「会社の資金繰りが厳しくなる主な原因4選」で詳しく紹介しています。原因をより深く理解する際の参考にしてください。
判明した問題に対して、すぐ効果が出やすい短期の資金繰り改善策を行います。
ポイントは「支出を減らし収入を増やす」ことです。
具体的には、不要不急の経費を削減する、一時的に固定費の見直しや支払いサイト延長の交渉を行う、過剰在庫を処分して現金化するなどの手段があります。
また、支払いの優先順位を決め、猶予をお願いできるものは後回しにする判断も必要です。
応急処置で手元の現金を確保しつつ、根本的な改善策を打つための時間を稼ぎましょう。
改善策の具体的な方法については、関連記事「会社の資金繰りが厳しいときに取るべき対応策!資金調達の種類も解説」のセクション「会社の資金繰りが厳しいときに今すぐやるべきこと4選」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
資金繰りに余裕を持たせるため、既存融資の条件変更や借り換えも検討しましょう。
早めに金融機関へ相談すれば、返済期間の延長や金利の見直しなど柔軟な対応を受けられる可能性があります。
例えば、月々の返済額が負担になっている場合は、返済期間を延ばすことで毎月の支払いを軽減可能です。
金利が高い融資を低金利のローンへ借り換えるのも効果的です。
また、短期借入を長期借入に切り替えれば、資金繰りにゆとりが生まれます。
資金繰りに不安を感じたら無理に新たな借入を増やす前に、まず既存融資の条件を見直しましょう。
それでも資金が足りない場合は追加の資金調達も検討します。
以下に、迅速に資金化できる主な資金調達方法の特徴をまとめました。
| 資金調達方法 | 概要、特徴 | メリット | 注意点 |
| ファクタリング | ・売掛金を売却して現金を先取りする仕組み ・審査は主に取引先の信用力を見られる | ・借入ではないため返済元本が生じない ・担保、保証人不要 | ・手数料が高水準になりやすい ・契約形態によっては債権譲渡の通知、登記が発生する |
| 手形割引 | ・受取手形を金融機関等に持ち込み、期日前に割引料を差し引いて現金化 ・審査は主に振出人の信用 | ・既存の取引金融機関で手続きが進めやすい ・コストがファクタリングより抑えられる場合がある | ・割引枠や金額上限がある ・紙手形の管理負担、電子手形の手数料に留意 |
| セーフティネット貸付 | ・公的機関の低利・長期の資金繰り支援 ・売上減少などの要件を満たす必要がある | ・返済期間が長めで毎月の資金負担が軽い ・一時的な落ち込みからの立て直しに向く | ・スピードは民間より遅い ・資金使途、要件に制限がある ・地域や制度によって窓口・条件が異なるため確認必須 |
| ビジネスローン | ・貸金業者等の事業者向けローン ・オンラインで完結し、書類が少ない | ・小口のつなぎ資金に合わせやすい ・担保、保証人不要が中心 | ・金利は高めで、限度額も小さめになりやすい |
短期で資金を調達できれば急場はしのげますが、借入であれば返済負担も増えるため、あくまで一時凌ぎと割り切りましょう。
根本的な経営改善と並行して進めるのが重要です。

資金繰りが厳しいときは、焦りや不安から「とにかく今すぐ現金を確保したい」と短期的な判断をしてしまいがちです。
ここでは、資金繰りが苦しいときに絶対に避けるべき行動を解説します。
街金や商工ローンなどの高金利業者からの借入は、返済が少しでも遅れると利息が膨らみ、元本が減らない状態になります。
一時的には資金が手に入っても長期的には借金が雪だるま式に増え、経営を圧迫します。
例えば年利15%で300万円を借りれば、1年後には利息だけで45万円近くの負担です。
高金利の借入は「その場しのぎ」にはなっても、将来の首をしめます。
資金が厳しいときこそ専門家に相談し、制度融資や返済計画の見直しなど無理のない方法を選んでください。
税金や社会保険料を滞納すると延滞税が加算され、負担が増えるだけでなく税務署からの差押えや強制徴収などの措置を受けるリスクがあります。
さらに、金融機関の信用を損ない、新たな融資を受けにくくなる原因になるでしょう。
分割納付や猶予制度など、事業を続けながら支払いの負担を軽くできる制度もあります。
納付が難しいときは放置せず、早めに税務署や年金事務所へ相談しましょう。
給与の未払いは労働基準法に違反し6か月以下の拘禁刑や付加金の支払い、30万円以下の罰金など法的処罰の対象です。
また、仕入代金の支払い遅延は、取引停止や信用低下につながり、将来的に取引自体ができなくなる恐れがあります。
支払いを滞らせれば、仕入先から出荷を止められたり、従業員が離職して事業が立ち行かなくなったりする可能性もあるでしょう。
社員や取引先との信頼を失えば、資金繰りの改善どころか、経営そのものが危機に陥ります。
どうしても支払いが難しい場合は、事前に取引先や従業員へ相談し、支払い猶予や分割払いをお願いする姿勢が大切です。
融通手形とは、取引がないのに現金調達だけを目的として発行する手形のことです。
見かけ上の資金繰りをつくる行為で、実質的には粉飾とみなされます。
融通手形で得た資金は一時的なもので、期日に資金を用意できなければ「不渡り」となります。
不渡りとは、手形や小切手の支払い期日に資金が不足し、銀行が決済を拒否することです。
繰り返すと銀行取引停止処分となり、口座が使えなくなるため、事業の存続自体を危うくします。
資金繰りに困ったときこそ、税理士や金融機関に相談し、正規の方法で資金を確保してください。

資金繰りが苦しい状況を一時的に乗り越えても、根本的な改善をしなければ再び同じ問題に直面してしまいます。
ここでは、資金繰りを安定させ、再び同じ状況に陥らないための長期的な経営のポイントを紹介します。
資金繰りの改善は一時的な対応で終わらせず、資金繰り表を継続的に作成、更新しましょう。
資金繰り表を定期的に見直せば、将来の現金不足を早めに把握でき、余裕を持って対策を立てられます。
おすすめの管理方法は、月次だけでなく週単位で資金繰り表を更新することです。
入出金のズレをより早期に発見できます。
「今月の支出が予想より増えた」「来月の入金が遅れそう」と気づいた時点で、支払い延期の交渉や追加融資の検討など、先手の行動が可能です。
継続して資金繰り表を見直す習慣が、経営判断を確かにします。
資金繰りを根本から安定させるには、経営計画と資金繰り計画をセットで設計し、月次から四半期ごとに見直しましょう。
ここでは日々のズレへの対応ではなく、3ヶ月から12ヶ月先を見据えた資金の流れを読む視点を持ちましょう。
例えば、事業計画に資金繰りの要素を組み込み、以下の項目を一つの表で管理します。
経営計画と資金繰り計画を一緒に管理すれば、先々の資金需要が読めるようになり借入や投資のタイミングを誤るリスクを下げられます。
関連記事:資金繰り予定表とは?作り方から経営に活かす方法まで徹底解説
資金繰りを安定させるには、売掛金、在庫、仕入債務といった運転資金の管理を見直しましょう。
資金繰りが悪化する原因の多くは「入金が遅い」「在庫が多い」「支払いが早い」など、日常の取引サイクルに歪みがあることです。
お金の流れを整えるだけでも、資金ショートのリスクを減らせます。例えば、以下の対策が可能です。
地道な管理の積み重ねが資金繰りの安定につながります。
資金繰りの課題は、自社だけで抱え込まず、金融機関や専門家と早めに連携して解決を目指しましょう。
資金繰りの悪化を放置すると、打てる手が限られてしまいます。
日ごろから情報を共有しておけば、返済条件の見直しや追加融資など、早めの支援を受けやすくなります。
メインバンクには早めに相談し、現状を具体的に伝えましょう。
また、税理士や中小企業診断士などの専門家に相談すれば、資金繰り表の作成支援や公的支援制度の活用など実務的なアドバイスが得られます。
普段から数字を開示する習慣をつければ、いざというときに「相談できる関係」を築くことが可能です。
資金繰りが厳しくなると、どこに相談すればよいか、どんな手段が安全なのか、返済をどうすればいいのかなど多くの不安が生じます。
ここでは、経営者の方が直面しやすい疑問をまとめ、解決策を紹介します。
はい、各自治体や公的機関に資金繰り相談窓口が用意されています。
例えば、都道府県の中小企業支援センター、よろず支援拠点、商工会議所では、資金繰りを含む経営相談を無料で受け付けています。
さらに、中小企業再生支援協議会では、専門家チームが資金繰り悪化に陥った企業の再建支援を無料で行っています。
資金繰りに悩んだら一人で抱え込まず、公的支援策を積極的に活用しましょう。
ファクタリングは適切に運用されれば、安全な資金調達です。
安心して利用するために、次の3点を確認しましょう。
相場より極端に高い手数料を提示する業者や、融資に見せかけた契約を結ばせる業者も存在します。
信頼できる事業者かどうか事前に専門家を通じてチェックしてもらうと安心です。
ゼロゼロ融資の返済が重いと感じたら、無理に返済を続ける前に、早めに借入先の金融機関へ相談しましょう。
金融機関に返済条件の変更を申し出れば、一定期間元本の返済を猶予したり、期間を延長して毎月の返済額を減らしたりできます。
また、信用保証協会の「コロナ借換保証制度」を活用し、ゼロゼロ融資を長期、低金利の融資に借り換えるのも有効です。
返済に不安を感じた際は、早めの相談が何よりの対策になります。
資金繰りが苦しいとき、焦って誤った判断をすると事態を悪化させる場合があります 。
現状を正しく把握し、コストの削減や緊急資金の調達などできることから取り組みましょう。
その上で、長期的な視点で経営計画を見直し、必要に応じて金融機関や専門家に相談すれば、資金繰りの問題はきっと乗り越えられます。
大切なのは、一人で抱え込まないことです。
税理士法人Farrow Partnersでは、資金繰りにお悩みの経営者様を対象に無料相談を承っております。
現状の課題を丁寧にヒアリングし、資金調達から経営改善まで、実情に即した最適な解決策をご提案いたします。
経営のパートナーとして、皆様と共に乗り越えていけるようサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
