資金繰り予定表とは?作り方から経営に活かす方法まで徹底解説

「資金繰り予定表を作りたいけれど、何から始めればいいのか分からない…」そんな悩みを抱えていませんか?

そこで本記事では、資金繰り予定表の基本から作成方法、作成に必要な資料やエクセルでの作り方、経営への活かし方まで、初心者にも分かりやすく丁寧に解説します。

本記事を参考にすれば、資金繰りの不安から解放され、資金ショートを防ぎつつ将来の投資や成長に自信をもって取り組めるようになるはずです。

 

なお税理士法人Farrow Partnersでは、資金繰り予定表作成などに関する無料相談を承っております。

一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。現状を整理し、改善の道筋を一緒に考えましょう。

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資金繰り予定表とは

資金繰り予定表とは

企業を経営していくうえで、最もシビアに管理すべきもののひとつが「現金の動き」です。

いくら帳簿上で利益が出ていても、実際に資金が手元になければ、仕入れや給料の支払いすらままなりません。

こうしたリスクを未然に防ぐために欠かせないのが「資金繰り予定表」です。

 

資金繰り予定表は、今後の収支を具体的に見える化し、会社の資金状態をコントロールするための管理ツールになります。

本章では、資金繰り予定表の基本的な概要から、作成する目的、構成、キャッシュフロー計算書との違いをみていきましょう。

 

資金繰り予定表とは

資金繰りとは、将来の現金収支を予測して管理することを指し、それを可視化したものが資金繰り予定表です。

実際の経営では、たとえ売上が伸びていても、実際の入金が遅れたり、支出のタイミングが重なると、資金が一時的に足りなくなるケースがあります。

資金繰り予定表では、一定期間の現金収入・支出・残高を一覧で確認できるため、いつ資金が不足するかを事前に把握できます。

資金繰り予定表を作る目的

資金繰り予定表は、単に帳簿を補完するためのものではありません。

では、なぜ資金繰り予定表が必要なのでしょうか。

会計処理をしていると、帳簿上の資金と実際の現金の動きにはズレが生じる場合があります。

例えば、いま売上に計上されていても、入金が翌月以降になる場合には、同時に発生する支払に対応できない事態もあるでしょう。

こうした「黒字倒産」を防ぐには、現金の流れをベースにした資金繰り管理が不可欠です。

資金繰り予定表は、将来の資金不足を予測し、事前に資金調達やコスト削減などの対策に役立ちます。

資金繰り予定表の基本構成

資金繰り予定表には、2つの種類があります。

ひとつは、すでに発生した取引をもとに作る「実績資金繰り表」、もうひとつは、これからの予定に基づいて作る「予測資金繰り表」です。

まだ資金繰り表を作成していない企業や個人事業主には、まずは過去のデータをもとにした実績資金繰り表の作成から始めるのが効果的でしょう。

過去の収支から問題点を洗い出し、支出の偏りや資金不足の原因を明確にすると、改善に向けた具体的なアクションを取れるようになります。

そのうえで、将来の計画に活かす予測型の資金繰り表へと発展させるのが理想的です。

キャッシュフロー計算書との違い

資金繰り予定表と混同されやすい書類が、「キャッシュ・フロー計算書(C/F)」です。

よく似ているように思えますが、それぞれ目的と内容に違いがあります。

 

キャッシュ・フロー計算書は、会計年度ごとの資金の動きを振り返るための財務諸表であり、過去の現金の出入りを3つの区分(営業・投資・財務)に分けて集計します。

一方、資金繰り予定表は、未来の資金収支を具体的な日付や金額とともに管理するためのツールで、運転資金の不足を事前に発見するためのツールです。

 

また、キャッシュフロー計算書では支出内容の詳細までは記載しませんが、資金繰り予定表では費目ごとに詳細に記録する点も異なります。

資金繰り予定表を作成するメリット4選

資金繰り予定表を作成するメリット

資金繰り予定表を作成するメリットは何でしょうか

会社経営を安定させるには、資金の流れを正確に把握することが欠かせません。

資金繰り予定表を作成すると、現金の動きを見える化し、将来の資金不足を予測したり、経営の意思決定をサポートできるようになります。

 

本章では、資金繰り予定表を作成して得られる主なメリットをみていきましょう。

将来の資金繰りを予測できる

経営者は日々の業務の中で、「来月の売上はこのくらいになるだろう」「支払いはこれくらいだろう」といった予測を頭の中で立てているものです。

しかし、それを見える形にすると、より社内での情報共有がスムーズになります。

資金繰り予定表を使えば、将来の収支を数値で可視化できるため、役員や経理担当者とも共通認識を持てるでしょう。

 

また、もし今後の資金不足が予想される場合、早い段階で金融機関に相談できるため、つなぎ融資などの対応策を検討しやすくなります。

予測を数字として整理するのは、リスク回避の第一歩です

資金ショートのリスクを回避できる

日々の経営では、手元資金だけで事業を回すのが理想的ですが、突発的な支出や回収遅れにより、資金繰りが急激に悪化する場合もあります。

資金繰り予定表を作成しておけば、資金ショートの兆しを事前に発見できるでしょう。

たとえば、売掛金の回収遅延や、想定外の支出が影響している場合は、その原因を明確にし、早期に対策を打てるようになります。

 

単に借入で穴埋めするのではなく、根本的な資金の流れを把握して改善策を検討できるのが、資金繰り表の大きな価値です。

問題が大きくなる前に、手を打てる仕組みを整えておきましょう。

経営判断や融資審査に役立つ

資金繰り予定表を継続的に作成・更新していくと、資金の流れに対する経営者の感覚が研ぎ澄まされていきます。

今どれくらいの余裕があるのか、いつ支出が増えるのかが明確になれば、投資判断や事業展開のタイミングも見極めやすいです。

また、金融機関から融資を受ける際にも、資金繰り表が大きな武器となります。

 

決算書が「過去の成績表」であるのに対し、資金繰り表は「今後の資金運用計画」を示すもの。

返済能力や資金の使い道を具体的に説明する資料となるので、金融機関からの信頼も得やすくなり、融資の承認もスムーズに進みやすくなります。

融資手続きがスムーズになる

金融機関に融資を申し込む際、資金繰り予定表は有効な資料になります。

なぜ資金が必要なのか、どのように返済していくのかを、数字で具体的に示せるため、融資担当者も判断しやすいです。

特に、景気が不安定な時期には、過去の業績を示す決算書よりも、今後の資金の動きを把握できる資料のほうが重要視される傾向があります。

 

資金繰り表があれば、返済計画や運転資金の管理能力を証明できるため、審査が通りやすくなり、交渉も有利に進めやすいでしょう。

資金繰り予定表を作る際に必要な資料

資金繰り予定表を作る際に必要な資料

資金繰り予定表を作る際に必要な資料とは何でしょうか

資金繰り予定表は、企業の資金の流れを可視化し、将来の資金不足や過剰を予測するために欠かせない管理ツールです。

正確な予定表を作成するには、現在の資金状況だけでなく、今後の入出金の見込みを正確に反映しなければなりません。

そこで本章では、具体的にどのような資料やデータが必要なのか解説していきます。

売上や仕入れのデータ

資金繰りを予測するうえで、売上や仕入れのデータは基本的かつ重要な情報です。

売上に関しては、過去の実績をもとに今後の入金予定日を洗い出す必要があります。

取引先ごとの入金(締め日と支払日)を考慮すると、入金のタイミングを正確に把握できます。

 

また、仕入れについても同様に、発注日や納品日、支払条件を確認し、出金予定を明確にしなければなりません。

これらのデータをもとに、売上から得られる資金と仕入れにかかる支出のバランスを見極め、キャッシュフローの予測に役立てましょう。

現金・預金の管理帳簿

現金や預金の残高を正確に把握するには、日々の入出金を記録した管理帳簿が不可欠です。

資金繰り予定表では、この帳簿をもとに現時点での資金の出発点を設定し、今後の資金変動を予測していきます。

預金通帳のコピーや会計ソフトに入力されたデータなどを活用し、正確な残高を確認しましょう。

 

また、未記帳の取引や振込予定なども見落とさずに反映させると、資金繰りのズレを防げます。

現金・預金の帳簿は、予定表の信頼性を支える「基盤」です。

経費や人件費の支出予定

毎月発生する固定費や、時期によって変動する経費・人件費の支出予定も、資金繰り予定表の精度に大きく影響します。

たとえば、オフィスの家賃や光熱費、通信費などは定期的な出費として見込む必要がありますし、賞与や季節的な臨時支出も事前に計上しておくと、資金不足を未然に防げるでしょう。

 

また、外注費や広告費などの変動費も、過去の実績を参考に予算を立てると効果的です。

これらの支出予定を明確にしておけば、将来の資金の動きをより正確に予測できるようになります。

資金繰り予定表の作り方

資金繰り予定表の作り方

資金繰り予定表の作り方を解説します

資金繰り予定表は、市販の会計ソフトを使わなくても、エクセルやGoogleのスプレッドシートを活用すれば簡単に作成できます。これらのツールなら、自由にレイアウトを組めて、数式を入れれば自動計算も可能なため、自社に合ったフォーマットを柔軟に設計できるのがメリットです。また、毎月の更新や見直しも手軽に行えるため、継続的な資金管理に適したツールのひとつになります。

 

本章では、エクセルやGoogleのスプレッドシートで資金繰り予定表を作成する際の基本的な手順を解説します。

初心者の方でもすぐに実践できる内容ですので、ぜひ参考にしてください。

必要項目を整理する

まずはExcelを立ち上げ、資金繰り表に必要な情報を入力していく準備をしましょう。主な入力項目は以下です。

資金繰り表の入力項目
前月繰越前月から繰り越された現金預金額
収入売上や前受金、その他の臨時収入
支出仕入れ、人件費、経費、税金などの費用
営業支出営業収入から営業支出を引いた額
収入(財務収支)直接事業に関連のない収入
支出(財務収支)直接事業に関連のない支出
翌月繰越前月繰越と今月の収支の合計額

状況に応じて、必要な項目があれば追加しましょう。

なお、すべての項目は、できるだけ具体的な金額と日付で入力しておくと信頼性の高い資金繰り表になります。

表のレイアウトを設計する

資金繰り表をExcelで作成する際には、見やすく使いやすいフォーマットを設計しましょう。

最初にテンプレートをひとつ作っておけば、次月以降は数値を差し替えるだけで済むため効率的です。

表の構成は、縦軸に収入・支出・収支などの項目、さらに「予測」と「実績」の2つの欄を作成しましょう。

横軸には月ごとの期間(例:1月〜12月)を並べます。

 

そのうえで、各セルには自動計算式(SUMや差引計算など)を入れておくと、毎月の集計作業が格段に楽です。

またレイアウトは、太字や色分けの強調、資金の動きが一目で把握できるよう心がけましょう。

計算式を設定する

エクセルを活用して資金繰り予定表を作成する際には、計算式の設定が大きなポイントです。

収入や支出の各項目に対して金額を入力するだけで、合計額や差引残高が自動で表示されるようにすれば、作業効率が格段に上がります。

たとえば、「当月の繰越残高+収入合計-支出合計」でその月の資金残高を算出する式を設定しておけば、毎月の見通しが一目でわかるでしょう。

 

また、関数(SUM、IFなど)を活用すると、より柔軟な管理も可能です。

正しく計算式を組めば、入力ミスの防止やデータの一貫性を保てるため、資金繰りの信頼性が高まります。

収入・支出データを入力する

エクセルに収入・支出のデータを入力する際は、できるだけ具体的で分類された形で記入するようにしましょう。

たとえば、収入であれば売上、借入金、補助金など、支出であれば仕入、人件費、家賃、水道光熱費などといった具合に、科目ごとに項目を分けて記録します。

これにより、どの部分で資金が多く使われているか、またどのタイミングで資金が増減しているかを把握しやすいです。

 

また、入力したデータは必ず日付と照らし合わせて記録し、実際の出入りとズレがないかを定期的にチェックするようにしましょう。

なお、日本政策金融公庫ホームページでは、資金繰り表の記入例がありますので、参考にしてみてください。出典:日本政策金融公庫 資金繰り表 記入例 PDF

資金繰り予定表を作成するときのポイント3選

資金繰り予定表を作成するときのポイント

資金繰り予定表を作成するときのポイントを解説します

資金繰り予定表は、単に数字を入力して終わるものではありません。

実際の経営に活かすための「戦略的な管理ツール」として活用するのを意識して作成しましょう。

 

特に資金不足が起こるリスクを減らすには、作成段階での工夫や運用時の見直しが欠かせません。

予算の立て方ひとつ、入力の順序ひとつで、資金繰り表の精度は大きく変わります。

本章では、資金繰り予定表をより実用的で信頼できるものにするための3つのポイントをみていきましょう。

予算は厳しめに設定する

資金繰り予定表を作るときは、売上や収入の見積もりを「控えめ」に設定しましょう。

過去の実績を参考にするのは基本ですが、将来の予測はどうしても予想どおりになるとは限りません。

もし楽観的に予算を組んでしまうと、実際の支出が上回り、思わぬ資金不足に陥るリスクがあります。

 

そこで、あえて厳しめの数値で収入を想定し、支出は少し多めに見積もっておくと、万が一のトラブルにも余裕を持って対応できるでしょう。

堅実な資金計画は、事業の継続に直結する大切な基盤です。

実績と照らし合わせて修正する

資金繰り予定表は一度作って終わりではなく、状況に応じて何度でも見直すべきものです。

予定と実際の数値が乖離していないかを確認し、資金管理の精度を高めましょう。

たとえば、売上の入金が遅れたり、予想外の支出が発生した場合は、すぐに表を修正します。

このようにリアルタイムで更新していれば、資金が不足しそうな時期を事前に察知でき、必要であれば早めに金融機関への相談や資金調達の準備ができるでしょう。

 

柔軟に修正を加えていると、資金繰り予定表は「使える経営ツール」へと進化します。

常に現状に即した状態を保つように心がけましょう。

固定費から優先的に入力する

資金繰り表を効率的に作成するためのポイントは、支出の中でも変動が少ない「固定費」から入力を始める点です。

順序を意識すると、資金繰り表の完成度が格段に高まります。

 

固定費とは、毎月一定額がかかる支出、たとえば家賃・人件費・保険料・リース代などです。

これらは金額があらかじめわかっているため、先に把握しておくと、最低限必要な支出額が明確になり、キャッシュフローのボトムラインを意識しやすいです。

その後に変動費や売上の見込みを加えていけば、収支の全体像がより正確に見えるようになります。

資金繰り予定表を経営に活かす方法

資金繰り予定表を経営に活かす方法

資金繰り予定表を経営に活かす方法を解説します

資金繰り予定表は、単なるお金の出入りを記録するだけのツールではありません。

正しく作成し、継続的に活用すると、経営判断の裏付けとして大きな力を発揮します。

そこで本章では、資金繰り予定表を経営に活かす方法をみていきましょう。

経営戦略のシナリオ立てに利用する

資金繰り予定表は、未来の資金の流れを可視化できるため、経営戦略の立案にも大いに役立つでしょう。

たとえば、「この時期に資金が余りそうだから、新たな設備投資を検討しよう」「人件費を増やす前にこの支出を見直そう」といった判断が、数字を根拠にして行えるようになります。

 

また、複数のシナリオ(楽観的・悲観的・標準的)を立てて、各ケースでの資金繰りを比較すると、リスクに強い経営計画を作成できるでしょう。

数字に基づくシナリオプランニングは、戦略の設計図として活用する姿勢が重要です。

融資資料として活用する

資金繰り予定表は、金融機関に融資を申し込む際の重要な提出資料の一つです。

金融機関は、融資を行うにあたって「貸したお金がきちんと返済されるか」を重視します。

そのため、資金繰り予定表を通じて、資金の流れや返済能力を明確に説明できなければなりません。

特に、売上見込みや支出計画、返済スケジュールを具体的に示せるようにします。

 

また、計画的な資金管理を行っている姿勢をアピールできれば、金融機関との良好な関係構築になるでしょう。

事前に精度の高い資料を整えておくのが肝心です。

定期的にチェックして改善する

資金繰り予定表は、過去の実績と将来の見込みを組み合わせて資金の動きを予測するものです。

しかし、経済情勢や取引先の状況、自社の売上の変動などにより、当初の予測と実際の結果がずれるのは珍しくありません。

 

そのため、資金繰り予定表は一度作ったら終わりではなく、定期的にチェックし、実績との差異を確認して更新するようにしましょう。

月に一度の見直しをルーティン化し、予測精度を高めていくと、より信頼性の高い経営判断ができるようになります。

まとめ【資金繰り予定表を作成するメリットを理解しましょう!】

資金繰り予定表は、企業の資金状態を把握し、経営を安定させるための重要なツールです。

エクセルやGoogleスプレットシートなどを使えば簡単に作成でき、将来の資金不足や経営判断、融資対策にも活用できます。

定期的に見直し、実績と照らし合わせて使用すると、より正確で信頼性の高い資金管理に役立つでしょう。

ぜひ本章の内容を参考にしてみてください。

 

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